スイカ食べたい日記

本・映画の感想、適応障害の経過、暴君な夫との日常

時をかけられないさとり

これまで仕事を楽しいと思ったことは、考えてみれば一度もないような気がします。

楽しかったとしても、それは同期や先輩たちとの会話が楽しかったのであって、仕事に対して達成感ややりがいを感じたことはありません。

それでも、仕事なんて嫌なことをやるものだと割り切って働いていました。

 

割り切れずにこんなに悩むようになったのは、久々に読書にハマり、朝井リョウさんの「時をかけるゆとり」を読んだことがきっかけです。

本を読む暇もなく遊びやバイト、授業に明け暮れていた大学生時代に、多分唯一買った本です。

大学生時代の大変だったけど楽しかった、充実した思い出が否応なく蘇りました。

そして、ふと現在の私に立ち戻り、「あれ、今の私全然楽しくないな……」と気づいてしまいました。

 

元々、小・中・高校とものすごく学校が好きな児童・生徒ではありませんでした。

不登校になる程嫌いというわけではないけど、好きでもない。できれば夏休みがずっと続いて欲しい。

嫌いな習い事に小さい頃から通っていたことも相まって、私は「人生は大抵嫌なことだけど、それでも耐えて過ごすしかない。楽しいのは芸能人とかごく一部の人たちだけ」と考えるようになっていました。

 

その思考が大学生になり、一変しました。

私は生まれて初めて、「人生って嫌なことを耐えるものと思っていたけど、ちゃんと楽しんでいいんだな」と感じました。

振り返れば、履修もゼミもバイトもサークルも、自分でやりたいと本心から思ったから頑張ることができました。

私はバイトや授業に追われながらも、それでもサークルでのやりがいや達成感を味わいながら、日々過ごしていました。

 

さて、今の自分は達成感もやりがいも感じたことはありません。

そもそも、本心からやりたい仕事かと問われれば、はっきりとNOと答えることができます。

この仕事を選んだのは、条件が良かったからに過ぎません。

そんな仕事で毎日消耗する中で、「時をかけるゆとり」を読み、笑って、思い出に浸って、ふと「人生って楽しんでいいんだ」という感覚を思い出しました。

 

大学生の時のように楽しく自由な時間を過ごしたいだなんて贅沢は言わない、せめてあの時感じたような熱量と達成感を日々の中で味わいたい…

そんな社会人なんてほんの一握りかもしれません。

でも、嫌なことに向き合うために精神をすり減らすのではなく、何かに向かって集中して取り組んで疲れたい、同じ疲労でも後者の方が格段に良いと私は思うのです。